現代社会は、科学技術の飛躍的な発達により生活全体が便利になっています。また、都市化や少子化の進展により、社会環境や生活様式が大きく変化したことに伴い、子ども達が屋外で体を動かして遊ぶ機会が減少しています。

幼児期運動能力向上

高知県においては、平成20年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」結果から、児童生徒の体力や運動能力が全国最低水準であることが明らかになりました。また、小学1年生から中学3年生を対象とした県独自の調査結果によると、小学1年生の時点で既に全国平均値を下回るテスト項目が多いということが明らかになっています。

このような状況から、高知県教育委員会では『高知県教育振興計画』の重点プランとして、小・中学生の体力・運動能力を全国平均まで引き上げるという目標を掲げ、その達成に向けて様々な取り組みを行っています。その一つとして、平成23年8月には「幼児期の運動遊びプログラム」を作成し、幼児期に体を動かす遊びを行う働きかけを推進しています。しかしながら、県全体での幼児期における体力・運動能力向上の取り組みはまだまだ十分とはいえず、各市町村において独自性のある先進的な取り組みを行うことが求められています。

企画の目的

子ども達の運動能力が少しでも向上することを願い、以下の目的で活動したいと考えています。

  1. 心身の発達が著しい幼児期に、主体的に体を動かす遊びを子ども達の生活全体の中に確保していくこと。
  2. 基本的運動技能(走る・投げる・跳ぶなど)を習得する幼児期に、子ども達自身が身体を動かすことの楽しさを体験し、自ら進んで多様な動きを身に付けること。
  3. 基本的運動技能の到達度調査に基づいて、「楽しく遊ぶこと」を基本とする運動を行わせることによって未熟な技能を発達させるための研究を実践していく。
  4. 調査結果や動画および画像解析を基に、幼・保・小の現場をサポートすること。

運動能力向上のための記録計測・運動遊びや体操サポートにおけるビジョン

自由快活に遊び回る幼児たちは微笑ましい存在であり、まるで疲れを知らないかのように繰り返し挑戦し続ける姿を見るにつけ、今後の大きな成長が期待されます。この時期に自主的な運動遊びを行うことによって多様な運動技能を身につけることが、小学生以降に各種のスポーツを行う上で必要となる体力や運動能力の基盤を培うことにつながります。その成長の過程で十分な運動遊びができていない場合、体育の授業や、運動部活動で他の子どもたちに取り残されてしまうことになりかねません。

まっすぐに走れない、転んだときに手が出せないなど、運動発達に問題を抱える幼児が数多く報告されるようになりました。それらの多くは『日常の運動遊びと生活習慣の改善』から修正されていくものと確信しています。

動画映像の撮影と記録に関するビジョン

基本的運動技能の到達度調査実施時に幼児の動きを動画撮影し、体育やスポーツの専門家に見せて、発達が不十分な運動領域を指摘してもらいます。専門家からの指摘と、調査結果のデータ分析を併せて検討し、個別施設ごとに必要な運動遊びのプログラムを提供します。施設訪問時に、遊具の種類や量、園庭やホールの広さなど、個別施設の環境構成の条件に合ったアドバイスも可能です。複数年にわたる同一園児の動画映像を記録しておきますので、保育士や保護者の方に成長の様子を見てもらい、今後の保育や生活習慣の改善に利用してもらうこともできます。

南国市幼児期運動能力向上推進委員会

アスリネットは、南国市幼児期運動能力向上推進委員会において、企画提案と現在推進委員として協力しています。

  1. この団体は南国市教育委員会関係者や地域ジュニアスポーツに関係した団体関係者を中心に構成され、幼児期の運動能力向上のための活動を推進していくものである。
  2. 調査結果の集計、収録データの解析は原則として事務局が行い、結果については南国市幼児期運動能力向上推進委員会に資料として提出する。
  3. 園への調査結果の報告は、原則として事務局と公認有資格者および現役指導者が共同で行う。